Sumo Logic 検索術 〜 こんな時どうやってクエリを書けばいいの?

Sumo Logic 検索術 〜 こんな時どうやってクエリを書けばいいの?

こんな検索がしたいんだけど、Sumo Logic でどうやるんだっけ?という時にこのブログを見て下さい。("クラスメソッド DevOps・セキュリティ Advent Calendar 2023" の8日目の記事)
Clock Icon2023.12.12

今回は、Sumo Logic での検索クエリの使い方にフォーカスを当てて、ケース別にクエリの作り方をご紹介したいと思います。 (今回取り上げるクエリ例については、あらかじめフィールド化(パース)されている前提でご紹介していきます。パースについては、パースオペレーターかFER等を使って行って下さい。)

わたしの個人的な意見ですが、SIEM での分析のほとんどはログ内のデータを何かの観点でカウントすることで、状態の変化を読み取ったり、必要なデータをハイライトさせることができます。

以下のようなログが Sumo Logic に取り込まれている前提で見ていきます。

ログのソースカテゴリ:
_sourceCategory = furusatoApp/products

ログデータ:

# 時間 卸先 種別 品名
1 2023/12/10 15:25:15 Y商店 野菜 ねぎ
2 2023/12/10 15:22:46 ABC商店 果物 りんご
3 2023/12/10 15:20:10 Y商店 果物 りんご
4 2023/12/10 15:07:29 ABC商店 果物 レモン
5 2023/12/10 15:03:41 Y商店 野菜 ねぎ
6 2023/12/10 15:03:40 Y商店 野菜 ねぎ
7 2023/12/10 14:28:13 ABC商店 果物 レモン
8 2023/12/10 14:25:52 ABC商店 果物 りんご

レコード数をカウントしたい時

冒頭でも申し上げた通り、分析の基本となります。

出力された行数を数えるには以下のようにします。

_sourceCategory = furusatoApp/products
| count

結果

# _count
1 8

グルーピングしてカウントしたい時は以下のようにします。

_sourceCategory = furusatoApp/products
| count by %"品名"

結果

# 品名 _count
1 レモン 2
2 りんご 3
3 ねぎ 3

検索結果を特定のフィールドのみに絞って表示させたい(ダッシュボード表示)

検索結果を特定のフィールドに限定したい時は以下のようにします。

_sourceCategory = furusatoApp/products
| fields %"時間", %"品名"

結果

# 時間 品名
1 2023/12/10 15:25:15 ねぎ
2 2023/12/10 15:22:46 りんご
3 2023/12/10 15:20:10 りんご
4 2023/12/10 15:07:29 レモン
5 2023/12/10 15:03:41 ねぎ
6 2023/12/10 15:03:40 ねぎ
7 2023/12/10 14:28:13 レモン
8 2023/12/10 14:25:52 りんご

※また、fields には表示順を並べる効果もあります。

特定のフィールドだけを省きたい時は以下のようにします。

_sourceCategory = furusatoApp/products
| fields - %"卸先"

結果

# 時間 種別 品名
1 2023/12/10 15:25:15 野菜 ねぎ
2 2023/12/10 15:22:46 果物 りんご
3 2023/12/10 15:20:10 果物 りんご
4 2023/12/10 15:07:29 果物 レモン
5 2023/12/10 15:03:41 野菜 ねぎ
6 2023/12/10 15:03:40 野菜 ねぎ
7 2023/12/10 14:28:13 果物 レモン
8 2023/12/10 14:25:52 果物 りんご

ただし、検索結果に対して単に fields を使った場合、パネル表示ができません(ダッシュボードにするにはパネル表示する必要があります)。パネルは必ず集計関数(count など)を利用する必要があります。
そういった時は最終的に表示させたいフィールド+α(ユニークな行が出力されるような)のグルーピングでカウントします。タイムスタンプをグルーピング条件に加えるとほとんどのケースでユニークな表示が可能です。

_sourceCategory = furusatoApp/products
| count by %"時間", %"種別", %"品名"

結果

# 時間 種別 品名 _count
1 2023/12/10 15:25:15 野菜 ねぎ 1
2 2023/12/10 15:22:46 果物 りんご 1
3 2023/12/10 15:20:10 果物 りんご 1
4 2023/12/10 15:07:29 果物 レモン 1
5 2023/12/10 15:03:41 野菜 ねぎ 1
6 2023/12/10 15:03:40 野菜 ねぎ 1
7 2023/12/10 14:28:13 果物 レモン 1
8 2023/12/10 14:25:52 果物 りんご 1

集計関数を使った後であれば fields で表示項目を絞ってパネル表示することができます。

_sourceCategory = furusatoApp/products
| count by %"時間", %"種別", %"品名"
| fields - _count

結果

# 時間 種別 品名
1 2023/12/10 15:25:15 野菜 ねぎ
2 2023/12/10 15:22:46 果物 りんご
3 2023/12/10 15:20:10 果物 りんご
4 2023/12/10 15:07:29 果物 レモン
5 2023/12/10 15:03:41 野菜 ねぎ
6 2023/12/10 15:03:40 野菜 ねぎ
7 2023/12/10 14:28:13 果物 レモン
8 2023/12/10 14:25:52 果物 りんご

時系列データを作成したい時

折れ線グラフなどを使って時系列データを作りたい時に、ログを特定の時間で区切って、その期間内に出現した行数をカウントします。
時系列データをつくるには以下のように timeslice と count を組み合わせます。

_sourceCategory = furusatoApp/products
| timeslice 15m
| count by _timeslice

結果

# 時間 _count
1 2023/12/10 15:25:00.000 AM +0900 1
2 2023/12/10 15:20:00.000 AM +0900 2
3 2023/12/10 15:05:00.000 AM +0900 1
4 2023/12/10 15:00:00.000 AM +0900 2
5 2023/12/10 14:25:00.000 AM +0900 2

棒グラフや折れ線グラフを選択すると、時系列変化を見ることができます。

検索範囲や出力されるログの量によって、区切る時間を調整します。
検索範囲が広い場合は、ある程度長い時間で区切ったり、ログの出力頻度が多く、細かくトラッキングしたい場合は区切る時間を短くして検索範囲もせまくします。

列名としての表示を変えたい時(列名を追加したい時)

列名としての表示を変えたい時は、以下のようにすることでフィールド名を新しく作ることができます。

_sourceCategory = furusatoApp/products
| %"品名" as %"商品名"

結果

# 時間 卸先 種別 品名 商品名
1 2023/12/10 15:25:15 Y商店 野菜 ねぎ ねぎ
2 2023/12/10 15:22:46 ABC商店 果物 りんご りんご
3 2023/12/10 15:20:10 Y商店 果物 りんご りんご
4 2023/12/10 15:07:29 ABC商店 果物 レモン レモン
5 2023/12/10 15:03:41 Y商店 野菜 ねぎ ねぎ
6 2023/12/10 15:03:40 Y商店 野菜 ねぎ ねぎ
7 2023/12/10 14:28:13 ABC商店 果物 レモン レモン
8 2023/12/10 14:25:52 ABC商店 果物 りんご りんご

フィールドに値を入れたい時は以下のようにします。

_sourceCategory = furusatoApp/products
| "100" as %"値段"

結果

# 時間 卸先 種別 品名 値段
1 2023/12/10 15:25:15 Y商店 野菜 ねぎ 100
2 2023/12/10 15:22:46 ABC商店 果物 りんご 100
3 2023/12/10 15:20:10 Y商店 果物 りんご 100
4 2023/12/10 15:07:29 ABC商店 果物 レモン 100
5 2023/12/10 15:03:41 Y商店 野菜 ねぎ 100
6 2023/12/10 15:03:40 Y商店 野菜 ねぎ 100
7 2023/12/10 14:28:13 ABC商店 果物 レモン 100
8 2023/12/10 14:25:52 ABC商店 果物 りんご 100

条件に合う個数を求めたい時

条件で絞り込む場合、where を使います。
条件で絞り込んだ後に、件数をカウントすることで条件に合う個数を出すことが可能です。

_sourceCategory = furusatoApp/products
| where %"品名" = "りんご"
| count

結果

# _count
1 3

条件に合う個数を2つ以上求めた後に計算したい時

条件に合う個数を2つ以上求めた後、その結果を計算したい場合などはどうしたらよいでしょう。
例えば、野菜は全体の種別の何割を占めているかを計算したいとします。
条件ということで、where で絞り計算をしていこうと思うと、以下のようなクエリを考えてみます。

_sourceCategory = furusatoApp/products
| where !isEmpty(%"種別")
| count as %"種別総数"
| where %"種別" = "野菜"
| count  as %"野菜総数"

すると、下記のようにフィールドが見つからずエラーとなってしまいます。

理由としては、最初の count 関数の後では、「種別総数」フィールドのみで、「種別」のフィールドは解釈できなくなっているためです。

_sourceCategory = furusatoApp/products
| where !isEmpty(%"種別")
| count as %"種別総数"

結果

# 種別総数
1 8

こういう時、先程あった列の追加を応用し、if と組み合わせます。
種別が野菜であれば野菜数に1、種別が何らか入力されていれば種別数に1を入れます。

_sourceCategory = furusatoApp/products
| if(%"種別" matches "野菜", 1, 0) as %"野菜数"
| if(!isEmpty(%"種別"), 1, 0) as %"種別数"

結果

# 時間 卸先 種別 品名 野菜数 種別数
1 2023/12/10 15:25:15 Y商店 野菜 ねぎ 1 1
2 2023/12/10 15:22:46 ABC商店 果物 りんご 0 1
3 2023/12/10 15:20:10 Y商店 果物 りんご 0 1
4 2023/12/10 15:07:29 ABC商店 果物 レモン 0 1
5 2023/12/10 15:03:41 Y商店 野菜 ねぎ 1 1
6 2023/12/10 15:03:40 Y商店 野菜 ねぎ 1 1
7 2023/12/10 14:28:13 ABC商店 果物 レモン 0 1
8 2023/12/10 14:25:52 ABC商店 果物 りんご 0 1

さらに total(フィールド内の数値合計を出す演算子)を使って野菜数、種別数の集計を出すことができます。

_sourceCategory = furusatoApp/products
| if(%"種別" matches "野菜", 1, 0) as %"野菜数"
| if(!isEmpty(%"種別"), 1, 0) as %"種別数"
| total %"野菜数" as %"野菜総数"
| total %"種別数" as %"種別総数"
| fields %"時間", %"種別", %"野菜総数", %"種別総数"

結果

# 時間 種別 野菜総数 種別総数
1 2023/12/10 15:25:15 野菜 3 8
2 2023/12/10 15:22:46 果物 3 8
3 2023/12/10 15:20:10 果物 3 8
4 2023/12/10 15:07:29 果物 3 8
5 2023/12/10 15:03:41 野菜 3 8
6 2023/12/10 15:03:40 野菜 3 8
7 2023/12/10 14:28:13 果物 3 8
8 2023/12/10 14:25:52 果物 3 8

数値同士の足し算など計算したい

先程の集計値の値同士を足し算してみます。

_sourceCategory = furusatoApp/products
| if(%"種別" matches "野菜", 1, 0) as %"野菜数"
| if(!isEmpty(%"種別"), 1, 0) as %"種別数"
| total %"野菜数" as %"野菜総数"
| total %"種別数" as %"種別総数"
| %"野菜総数" / %"種別総数" as %"野菜割合"
| fields %"時間",%"種別", %"野菜総数", %"種別総数", %"野菜割合"

結果

# 時間 種別 野菜総数 種別総数 野菜割合
1 2023/12/10 15:25:15 野菜 3 8 0.375
2 2023/12/10 15:22:46 果物 3 8 0.375
3 2023/12/10 15:20:10 果物 3 8 0.375
4 2023/12/10 15:07:29 果物 3 8 0.375
5 2023/12/10 15:03:41 野菜 3 8 0.375
6 2023/12/10 15:03:40 野菜 3 8 0.375
7 2023/12/10 14:28:13 果物 3 8 0.375
8 2023/12/10 14:25:52 果物 3 8 0.375

条件に応じて値段を入れて、値段の合計を求める

先程と同じですが、もう一例やってみます。
品名がレモンならレモン値段に80、りんごならりんご値段に100、ねぎならネギ値段に250を入れます。

_sourceCategory = furusatoApp/products
| if(%"品名" matches "レモン", 80, 0) as %"レモン値段"
| if(%"品名" matches "りんご", 100, 0) as %"りんご値段"
| if(%"品名" matches "ねぎ", 250, 0) as %"ねぎ値段"

結果

# 時間 卸先 種別 品名 レモン値段 りんご値段 ねぎ値段
1 2023/12/10 15:25:15 Y商店 野菜 ねぎ 0 0 250
2 2023/12/10 15:22:46 ABC商店 果物 りんご 0 100 0
3 2023/12/10 15:20:10 Y商店 果物 りんご 0 100 0
4 2023/12/10 15:07:29 ABC商店 果物 レモン 80 0 0
5 2023/12/10 15:03:41 Y商店 野菜 ねぎ 0 0 250
6 2023/12/10 15:03:40 Y商店 野菜 ねぎ 0 0 250
7 2023/12/10 14:28:13 ABC商店 果物 レモン 80 0 0
8 2023/12/10 14:25:52 ABC商店 果物 りんご 0 100 0

さらに total(フィールド内の数値合計を出す演算子)を使ってそれぞれの値段の集計を出すことができます。

_sourceCategory = furusatoApp/products
| if(%"品名" matches "レモン", 80, 0) as %"レモン値段"
| if(%"品名" matches "りんご", 100, 0) as %"りんご値段"
| if(%"品名" matches "ねぎ", 250, 0) as %"ねぎ値段"
| total %"レモン値段" as %"レモン集計"
| total %"りんご値段" as %"りんご集計"
| total %"ねぎ値段" as %"ねぎ集計"
| fields %"時間", %"品名", %"レモン集計", %"りんご集計", %"ねぎ集計"

結果

# 時間 品名 レモン集計 りんご集計 ねぎ集計
1 2023/12/10 15:25:15 ねぎ 160 300 750
2 2023/12/10 15:22:46 りんご 160 300 750
3 2023/12/10 15:20:10 りんご 160 300 750
4 2023/12/10 15:07:29 レモン 160 300 750
5 2023/12/10 15:03:41 ねぎ 160 300 750
6 2023/12/10 15:03:40 ねぎ 160 300 750
7 2023/12/10 14:28:13 レモン 160 300 750
8 2023/12/10 14:25:52 りんご 160 300 750

さらに集計値の値同士を足し算してみます。

_sourceCategory = furusatoApp/products
| if(%"品名" matches "レモン", 80, 0) as %"レモン値段"
| if(%"品名" matches "りんご", 100, 0) as %"りんご値段"
| if(%"品名" matches "ねぎ", 250, 0) as %"ねぎ値段"
| total %"レモン値段" as %"レモン集計"
| total %"りんご値段" as %"りんご集計"
| total %"ねぎ値段" as %"ねぎ集計"
| %"レモン集計" + %"りんご集計" + %"ねぎ集計" as %"合計額"
| fields %"時間", %"品名", %"レモン集計", %"りんご集計", %"ねぎ集計", %"合計額"

結果

# 時間 品名 レモン集計 りんご集計 ねぎ集計 合計額
1 2023/12/10 15:25:15 ねぎ 160 300 750 1,210
2 2023/12/10 15:22:46 りんご 160 300 750 1,210
3 2023/12/10 15:20:10 りんご 160 300 750 1,210
4 2023/12/10 15:07:29 レモン 160 300 750 1,210
5 2023/12/10 15:03:41 ねぎ 160 300 750 1,210
6 2023/12/10 15:03:40 ねぎ 160 300 750 1,210
7 2023/12/10 14:28:13 レモン 160 300 750 1,210
8 2023/12/10 14:25:52 りんご 160 300 750 1,210

値表示の時に単位をつけたい

表示する時に「%」とか「¥」などの単位をつけたい時があります。

_sourceCategory = furusatoApp/products
| if(%"品名" matches "レモン", 80, 0) as %"レモン値段"
| if(%"品名" matches "りんご", 100, 0) as %"りんご値段"
| if(%"品名" matches "ねぎ", 250, 0) as %"ねぎ値段"
| total %"レモン値段" as %"レモン集計"
| total %"りんご値段" as %"りんご集計"
| total %"ねぎ値段" as %"ねぎ集計"
| %"レモン集計" + %"りんご集計" + %"ねぎ集計" as %"合計額"
| concat("¥", %"合計額") as %"合計額"
| fields %"時間", %"品名", %"合計額"

結果

# 時間 品名 合計額
1 2023/12/10 15:25:15 ねぎ ¥1210
2 2023/12/10 15:22:46 りんご ¥1210
3 2023/12/10 15:20:10 りんご ¥1210
4 2023/12/10 15:07:29 レモン ¥1210
5 2023/12/10 15:03:41 ねぎ ¥1210
6 2023/12/10 15:03:40 ねぎ ¥1210
7 2023/12/10 14:28:13 レモン ¥1210
8 2023/12/10 14:25:52 りんご ¥1210

重複を削除したい場合

フィールド内のユニークな値を取り出したい時、dedup を使います。

_sourceCategory = furusatoApp/products
| dedup by %"品名"

結果

# 時間 卸先 種別 品名
1 2023/12/10 15:20:10 Y商店 果物 りんご
2 2023/12/10 15:03:40 Y商店 野菜 ねぎ
3 2023/12/10 14:28:13 ABC商店 果物 レモン

重複を除いて、データの個数を求めたい時

この例の場合だと、品名の数を数えたい時に利用します。

_sourceCategory = furusatoApp/products
| dedup by %"品名"
| count

結果

# _count
1 3

まとめ

Sumo Logic でこんな分析ってどうしたらいいんだろうと思った時に、具体的な例を用いて紹介してみました。
少しくせがあると思うのですが、パターン的には今回紹介した方法を応用するとおおまかなケースでヒントになるのではないかと思います。
またよくありそうな分析観点とクエリの書き方が思い付けば書こうと思います。

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